オンラインでも、おなかが鳴るほどのライブ感

——では実際に実施されたオンラインツアーについてお聞かせください。ツアーの内容はどういったもので、どのような方たちが参加しましたか。また参加された地場産業の方たちについても教えてください。

渡邊 今回の体験ツアーは、Zoomを使って実施した「おうちで神戸牛 〜 皆が知っている神戸牛、誰も知らない神戸牛 〜」「利酒師とめぐる日本一の酒処・灘五郷オンラインツアー」「洋菓子の街神戸からお届けするスイーツオンラインツアー」のそれぞれ1時間から90分の3つのコースを用意しました。人数は、各30〜35名くらいですね。

また、前述したように弊社が日頃お世話になっている地場産業の、吉祥吉グループ、白鶴酒造資料館、神戸酒心館、泉酒造、浜福鶴酒蔵、神戸風月堂の皆さまに協力をお願いしました。

具体例をひとつ挙げますと、神戸牛を育てる畜産農家にオンラインでつないで牧場での牛の様子を観察したり、ツアーの後半部分では実際にレストランの厨房で調理している様子をオンタイムで中継しました。

どのように飼育されてきた牛なのか、その過程も見せることで食育にもつながっています

五十嵐 参加者は、弊社にネットワークがある全国や県内の高校、中学、大学、企業に向けて募集し、また一般にはチラシなどで告知して、10代から60代まで幅広い年齢層の方にご参加いただきました。10代20代の一般参加の方も多く、ある中学生の方はネットで情報を見つけたと言っていました。やはり若い方は情報をキャッチするのが上手だと感心しましたね。

——普段なかなか見られない畜産の現場やレストランの厨房を体験して、参加者はどのような反応でしたか。また地場産業の方たちの声も教えてください。

五十嵐 神戸牛ツアーで行った、スマホを使った早押しクイズ大会は、大変盛り上がりましたね。上位正解者には神戸牛のプレゼントがあり、今まさに厨房でおいしそうに焼かれているお肉を見て、神戸牛を実際に食べたい!と感じてもらえたのではないでしょうか。お肉を焼いているときにおなかが鳴る参加者もいて、オンラインでも伝わるリアル感があるなと(笑)。実際に、このツアーに参加された方で、紹介したレストランに食べに行った、という人もいました。

また、日本酒ツアーでは、利酒師が司会をして酒処である灘のお酒の歴史などを楽しく解説するなど、灘でこんなにおいしいお酒がつくられているのだと、改めて知ったという声もありました。

手間ひまかけられた製造の様子を知ることで、お酒もより美味しく飲めるはずです

渡邊 Zoomを使い双方向でコミュニケーションが取れるので、疑問や質問にもすぐに答えられます。地場産業に関わる方々は、普段は牧場や酒蔵、厨房にいる方々ですので、なかなか一般消費者と触れる機会がないと聞きます。この体験ツアーで、消費者がどんなことを知りたいのか、どういう感想を持ったのかを直に聞ける機会になったと喜んでもらえました。コロナ禍で大変な時でもあり、この取り組みで現場のモチベーションが上がったとの嬉しい声もいただきましたね。