電動モビリティで自由な個人旅を満喫! 城崎温泉拠点に新たなコンテンツの創造を
電動モビリティで自由な個人旅を満喫!
城崎温泉拠点に新たなコンテンツの創造を
株式会社たびぞう
大林大悟さん
会社概要
たびぞうはもともと団体旅行をメインに取り扱う旅行会社として設立しました。2020年1月に旅行業登録を行いましたが、同時に新型コロナの感染拡大が始まり団体旅行需要がほぼなくなりました。厳しい状況の中で何ができるだろうかと考え、城崎温泉で「城崎ぷちたび」という商品をリリースしました。温泉街周辺や海岸などを電動モビリティで巡る個人客向けツアーで、ガイドが同行しない自由度の高さが特徴。事前に電動バイクや電動トゥクトゥクの運転をスタッフが丁寧に指導し、複数のモデルルートとその見どころをレクチャーすることで、満足度の高い体験を提供でき城崎の観光プランとして定着してきました。現在本社は豊岡市で、城崎と三重県伊勢市に営業所を設けています。
本事業の応募きっかけ
従来実施していた事業をブラッシュアップすることを目的に、応募しました。一つは、GPSデータを活用した「湯めぐりトゥクトゥク」の再編集です。湯めぐりトゥクトゥクは、城崎温泉の魅力の一つである「そぞろ歩き」を高齢者や妊娠中の方などの交通弱者にもより楽しんでいただこうと実施している、トゥクトゥクによる無料送迎です。以前は旅行者への情報提供を主にしていましたが、今回は各旅館との連携に力を入れ、より活発な利用を促進します。
もう一つは、ぷちたび利用者のGPSデータを活用したサービスの向上です。ガイドが同行しないことによる不安を払拭でき、道に迷う・モビリティの扱いが分からなくなったなどの場合にすぐに対応できるシステムを導入します。これによって従来より幅広い層の顧客にぷちたびを利用していただき、城崎温泉エリアの旅行客の滞在時間を増やして観光消費額アップを目指します。
プロジェクト内容
自社が所有する電動モビリティに搭載しているGPSシステムを強化し、より効果的に活用することが、今回のプロジェクトの内容です。湯めぐりトゥクトゥクに関しては、各旅館へチラシを配布するなどプロモーションをかけ、宿泊客への周知をお願いしました。大雪などで運行できない日もすぐにLINEの連携で分かるようにし、今どのトゥクトゥクがどこを走っているか、どこにいつ着くかなどもリアルタイムで各旅館に把握してもらえます。必要に応じて、本社から遠隔でトゥクトゥクを向かわせることもできるようにしました。これらが今年のITで進化した部分です。
個人のぷちたびについては、コースの途中でトラブルが起きたり時間に遅れたりした際の連絡通知に、旅行者の位置情報をプラスしました。コースによっては比較的範囲も広く、例えば「バイクが止まってしまいました」と連絡が来ても、お客さん自身がどこにいるのか分からないことが多いわけです。それが今回のシステムでは、すべてのモビリティの現在地を非常に細かく把握できます。それぞれのスポットの「入った」「出た」が分かるようになりました。旅の安心感を提供する上で、位置情報を常に得られるメリットは大きいです。
さらに「Googleマイマップ」の機能を活用したサービスを始めました。Googleマップの中にある「ぷちたび」のオリジナルマップで、実際に旅行者が訪問したスポットのおすすめ度やコメントを提供します。利用者は例えば「自分と同世代のカップルがどのスポットを気に入っているか」をデジタルマップで確認することが可能。他にも、「電動バイクで走ると気持ちいい」や「写真映えする景色」など旅行者目線の旅の魅力が、データとして蓄積されていきます。このように、ガイドブックには載っていない「ぷちたび」独自の、エリアの魅力の可視化を実現させました。
プロジェクト成果
城崎ぷちたびの魅力は、ガイドが同行しないため、時間やスケジュールにしばられず自分で行き先を決めて旅を楽しめることです。しかし土地勘がない場所での自由行動にはやはり不安が伴います。この不安をGPSの活用によって払拭できたことが今回の成果です。同じ機能を使って湯めぐりトゥクトゥクの位置情報を提供し、温泉利用客の利便性と各旅館のサービスも向上させることができました。これは旅館や温泉施設の事業者に大変好評です。
またGoogleマイマップの活用では、紙のマップでは追いつけないリアルタイムの情報更新が可能になるため、常に最新の「旅行者に刺さるスポット」の共有が可能。音が静かな電動モビリティの旅は、自然の音や鳥の声、風を受ける感触など、普通のガイドブックには載らない魅力が多くあるので、利用者の生の声をすぐに反映できるシステムは価値があります。実際に2回、3回のリピーターが増えており、好感触を得ています。
将来ビジョン
城崎だけでなく、現在は新潟でも湯めぐりトゥクトゥク事業を始めました。将来的には、湯めぐりトゥクトゥクのシステムを生かした自動運転バスの事業を思い描いています。中山間地域の交通弱者の課題は今後増すばかりですから、ニーズは高いでしょう。トゥクトゥクと組み合わせて、大きな道路は自動運転バスを運行し、バス停から先の細い道は自動運転トゥクトゥクが迎えにくるようなシステムを作れたら非常に面白い。今、城崎はすでに低速運転するトゥクトゥクがなじんでいるので、城崎から小さく試験的に始められるといいと考えています。