島の若者の未来を映像で創る
島の若者の未来を映像で創る
株式会社 海空
代表取締役 大継康高様
会社概要
淡路島最大のイベントともいえる「うみぞら映画祭」を手掛ける株式会社海空は、映像・イベントを中心にエンターテイメント空間を創造し、笑顔あふれるまちづくりにも貢献しています。大継康高さんは高校生まで淡路島で育ち、将来は映像制作の道に進みたいと考え京都に進学。京都で映像制作を学び、独立し関西方面で活躍されていました。2016年、拠点を京都に置きながら、長年の夢だった海での映画上映イベントを故郷の淡路島で開催しました。「うみぞら映画祭」の反響は大きく、島の方々から声をかけてもらうことも増え、自然な流れで淡路島に拠点を持つことになりました。現在は京都と淡路島の二拠点でテレビ・CM・プロモーションビデオなどの映像制作やイベントの企画・運営に精力的に取り組んでいます。
本事業の応募きっかけ
誰もがS N Sで情報発信できるようになった今、淡路島全島からさまざまな情報が発信されれば、地元の人にも観光客にも淡路島の新たな魅力が伝わり、島の活気につながるはず。世間一般にはSNSによる情報発信は手軽と言われるものの、スマートフォンの操作に不慣れな人にとっては動画撮影や編集、SNSの開設等は大きな壁です。そこで大継さんは自分たちの力を生かすことができるのではないかと考え、本事業への応募を決めました。近年、旅の情報収集にはスマートフォンを利用する人が大半といわれ、写真だけでなく動画による発信は魅力がより具体的に伝わります。大継さんはユーザーがよりスムーズに情報を得られるよう「縦動画」にこだわり、動画の撮影方法やSNSでの発信方法、必要に応じてS N Sチャンネルの開設からレクチャーすることを決めました。
プロジェクト内容
まずは、大継さんらが2022年に立ち上げたスマートフォン向け淡路島観光情報サイト「あわじしまっぷ」の掲載動画を作成するにあたり、島内各地で取材を実施します。そして取材先の方々を対象に、動画撮影や情報発信についての困りごとをサポートする流れを組みました。実際は「あわじしまっぷ」の動画撮影と並行してのサポートには時間的な難しさがあり、改めてオフィスに集合して「動画編集セミナー」を開催することになりました。動画編集セミナーのキックオフミーティングでは、参加者それぞれの悩みや困りごとを丁寧にヒアリングし、以降のセミナーは動画編集経験や、参加者の希望に合わせて2コースに分かれて実施しました。セミナーの参加者は、淡路島に移住して事業を始めた方や、観光協会の方、高校の先生などさまざまで、困りごともそれぞれ異なるものでした。動画編集初心者もいれば、経験があるものの独学のため、良い動画に仕上がっているか細かな部分を相談したいという方も。経験者の中では使用している動画編集ソフトにも違いがありますが、楽しく負担なく続けられるように使い慣れているソフトでの指導を心がけました。動画の撮り方は触れるうちに上達しますし、今やユーチューブでもノウハウが紹介されています。動画全体の構成や、効果的なナレーション、文字の入れ方など、プロだからこそ伝えられる動画制作のポイントを伝えようと工夫を凝らしました。セミナーの最終回では、洲本市の取り組みと連動し、高校の企業体験学習のひとつとして、高校生に向けた映像制作のレクチャーを行います。大継さんが高校生のときに夢見た映像制作の仕事を、淡路島の高校生に伝えるときがやってきました。
プロジェクト成果
参加者の技術が上がっていくとともに、映像制作を通じたコミュニティが自然と作られたことも大きな成果でした。「それぞれが作った映像をここで鑑賞しながらみんなで意見を交わしたり、『大人の放課後』といった雰囲気ですね。」と大継さんはおっしゃいます。事業を通じて見えてきた課題としては、映像制作の経験値の差はもちろん、編集ソフトの違いや進度に合わせ、個別の指導が必要になること。また事業展開していくにはどうマネタイズしていくかも悩ましい部分です。高校生への取り組みに関しては、島の若者を大切に育て、島で活躍してほしいと願う年配の方々が多くいるので、協力いただくこともできるのではないか。これは淡路島で映画祭を運営する大継さんだからこその信頼関係でもあります。大人に向けた取り組みは、課題を検討しながら継続していけたらと思っています。
将来ビジョン
これまで映像制作に携わる中で、「技術を伝える」という仕事ははじめてでした。事業を通して、対象者の現状や求めるものを捉え、その方にふさわしいサポートをどのように進めていけばよいのかが徐々に分かってきました。映像制作を通して、さまざまなフィールドで活躍する島の方々が出会い、豊かな時間が生まれることもわかりました。高校生のうちにクリエイティブな仕事に触れることで、島で活躍する若者が増えたり、島に戻ってきたいと思う人が増えるかもしれない。事業を通じてたくさんの可能性を感じることができました。