ITの力で地元とお客様の交流を促す

特定非営利活動法人姫路コンベンションサポート
理事長 玉田恵美様 / 株式会社AIR.C 代表取締役 大内裕史様
tamada@hcs.or.jp 079-286-8988

プロジェクトメンバーの玉田さんと大内さん

会社概要

特定非営利活動法人姫路コンベンションサポートは、2002年に理事長の玉田恵美さんが設立し、現在は姫路駅から徒歩数分のビルに拠点を構えます。玉田さんの観光業界での経験を活かし、姫路市が持つ魅力を最大に引き出しながら、市民の思いを実現させるサポートを行っています。「地域しごとサポートセンター播磨」では地域住民や団体がビジネスとして地域課題解決に取り組む活動や、コミュニティ・ビジネスの起業に関する相談、セミナーの開催、情報提供等の支援を行っています。また、起業家の育成支援のためのインキュベーション施設「起業プラザひょうご姫路」の運営や、週単位で借りられる「アンテナショップ電博堂」等、拠点づくりも手掛けています。

本事業の応募きっかけ

姫路市には世界文化遺産姫路城があり、姫路城を案内するボランティアガイド団体があります。ガイドさんのほとんどがボランティアで活動されており、姫路城の歴史の奥深さのため知識の習得に時間がかかるなど様々な課題を抱えているといいます。玉田さんはガイドを目指す人が増え、観光ガイドを生業にできるような環境を整えたいと願うとともに、姫路城に登城できない人への対応について長年考えていました。姫路城には100段以上の階段があり、2時間ほどかけて登るにはなかなかの体力が必要です。体の不自由な方、小さなお子様を連れた方など、登城できない方はお城の周辺で待っていることしかできない現状をなんとかしたい。姫路城に登らずして、姫路城の魅力を味わってもらうことができないだろうか。また、個人で訪れた方が、自分で知識を得ながら登ることができれば、より豊かな時間になるのではないか。このような背景を踏まえ、IT技術を使ったガイドアプリの作成と、アプリを教材としたガイドの育成、そして観光客や関係人口の増加を目標とし、本事業に挑みました。

プロジェクト内容

アプリ開発の前段階として、既存のガイド団体の方々とともに「コースの造成」に取り組みました。ガイドポイントを抽出し、見どころと解説ポイントをまとめ、城外2コース、城内1コース、計3つのコースを作りました。また、「歴史考証」には姫路市城郭研究センターや郷土史家の方々にご協力いただき、姫路城の歴史を正しくわかりやすく伝えるための工夫を凝らしました。コースの造成、歴史考証を経て、いよいよ「ガイドアプリの開発」が始まりました。これからのまちづくりにIT化は欠かせないと考え、技術面を支えてくださった株式会社AIR.Cの大内裕史様とは、これまでもさまざまなアイディアを交換してきました。今回のガイドアプリ開発において、不安視していたのは位置情報でした。日頃街で活用する位置情報は経度と緯度で示すことができれば可能ですが、地上6階、地下1階にわたる姫路城の中で、正しく位置情報を感知し、その場でふさわしい解説を流せるだろうか。そんな玉田さんの心配は同じ地点での標高差を感知することで解消出来、見学している地点で適切な解説を流すことのできるガイドアプリが完成しました。これまではガイドさんお手製の資料ファイルを開いて解説していましたが、ガイドアプリはお客さまの手元で見ることができるので、団体客にも対応できます。また、歴史は奥深く、ガイドさんの知識もどれだけでも深められるところ、ガイドアプリがあることでベースラインができました。玉田さんは、ガイドアプリで知識を補完できるので、ガイドさんには明るく楽しいエンターテイナーとして活躍していただき、将来的には観光業に憧れる人が増えることを願っています。

ガイドアプリについて

プロジェクト成果

ガイドアプリを使用しての実証はこれからですが、既存のガイド団体の方々はガイドアプリを使って次世代の育成がしやすくなると喜んでくださっています。持続可能なマネタイズについての課題は、将来、地域の店舗から広告料をいただくかたちで解決する予定です。ガイドアプリに各店舗のクーポンを掲載し、観光客が地元の店舗で利用する流れを想定しています。地元のホテルや飲食店、タクシー業界などにもガイドアプリが浸透すれば、お客さまとの交流のきっかけも生まれやすくなり、姫路での思い出作りにつながることを期待します。

姫路の町をガイドする玉田さん

将来ビジョン

今回の事業では、基本となるガイドアプリを開発しましたが、今後は外国人向けや、子ども向け、歴史に造詣が深い人向けなど、対象者によりフィットしたガイドアプリの開発も視野に入れています。ガイドアプリを使って楽しく案内してくれたあの人にまた会いに行こう!そんなふうに思ってもらえる街を目指し、IT化の中にも「人と人とのつながり」を大切にする玉田さん。姫路の街が観光客にとっても、地元を盛り上げたい人にとっても、新しい技術を活かしたやさしい街であるように、これからも挑戦を続けていきます。