Project #04
西脇市の観光資源の調査及び情報発信、市内事業者や市民への情報発信方法のレクチャー、市内在住者への写真データの共有、オンラインツアーの開発
——ビートル

「兵庫県地域IT人材育成事業」参加事業者インタビュー。今回お話を聞いたのは、カメラ好き女性が集うコミュニティ『カメラガールズ』を運営する、株式会社ビートルの統括・田中海月さんです。同社は本事業で兵庫県西脇市における観光資源の調査や情報発信を目的に、自社のコミュニティを活かしたIT人材育成のプロジェクトを行いました。

田中さんは、自身がカメラ好きでTwitterに「カメラ好きの友人が欲しい」と投稿したのをきっかけに、メンバーを募りカメラ女子サークル『カメラガールズ』を立ち上げました。20代から60代まで幅広い年齢層のカメラを趣味にする女性たちが集まり、今では全国各地に1万2000人ほどのメンバーが集まる日本最大級の女性コミュニティメディアに成長しました。本業が会社員や医者、シェフなど多様な職種の人が参加しているのは、コミュニティならではの魅力です。

「カメラガールズのメンバーが主役だから、自分が出るのは緊張するー」とはにかみながら事業を振り返る、ビートルの田中さん。東京・江東区亀戸を拠点に全国各地の地方創生事業に取り組んでいます。

『カメラガールズ』の活動は、WEBサイト上で体験や旅の募集が行われ、応募者が現地を訪れてさまざまな体験をしながら地域や企業の隠れた魅力を写真で発信します。全国各地で撮影イベントやプロジェクトを実施し、地方創生や地域活性化、まちや企業の知名度アップに寄与するので、多くの自治体や企業から注目を集めています。

「兵庫県地域IT人材育成事業」では、同社のコミュニティを活かして写真による西脇市の観光資源の掘り起こしや情報発信のノウハウを提供するプロジェクトを実施しました。カメラを通して見えてくる地域の未来について、田中さんにプロジェクトを振り返っていただきました。

 

「カメラ」で集う女性たちの価値

——兵庫県地域IT人材育成事業の実施を西脇市で行うことになったのはなぜでしょうか?

田中海月さん(以下、田中) 兵庫県西脇市にゆかりのある方と知り合いだった縁で、2021年夏に西脇市内でも有名な播州織のブランド『tamaki niime(タマキニイメ)』さんに出会いました。一度、旅行をかねて『tamaki niime』さんに立ち寄って話をしていたなかで、「情報発信の仕方がわからない」という悩みを聞きました。

自社ブランドだけでなく、西脇市の魅力とともに自分たちで率先して届けたい、まちづくりに関わりたいという熱意がある方たちでした。話をお聞きしていて心が動かされ、何かお手伝いできることはないだろうかと思ったんです。

そんなときに今回の兵庫県地域IT人材育成事業を知り、西脇市観光協会と『tamaki niime』とともに一緒に取り組めるプロジェクトを行うため応募しました。

本事業の撮影ツアーで訪れた『tamaki niime』。参加したカメラガールズたちが各所で説明を聞きながら、彼女たちの視点で魅力を感じた部分をカメラに収めていく。なんと言っても楽しそうに参加しているのが印象的です。

——2021年11月から2022年3月までに行った「西脇市の情報発信の強化」を目的としたプロジェクトの内容を具体的に教えてください。

田中 期間中はビートルのスタッフは市内のコワーキングスペース「ヘソノオプレイスAnn」を借りて、本社のある東京と行き来する形でプロジェクトを遂行していきました。

カメラガールズによる日帰り/1泊2日の撮影ツアー、SNSや自社メディアでの情報発信、西脇市の印象を語り合う意見交換会を実施して、最後は西脇市の市民たちに向けた情報発信のノウハウとプロジェクトの記録をまとめた冊子を制作しました。

3回実施した撮影ツアーでは、各回で最大10名の募集を行って選ばれたカメラガールズのメンバーが西脇市に出かけ、撮影を通してまちに触れてインスタグラムで投稿したり、意見交換会で感想の発表や提案をしたりしました。

意見交換会では、播州織を活かす策として「現地でのみ撮影できる特別感を打ち出す織物アイテムのレンタルサービス」「織物でカメラストラップをつくる」といったカメラガールズならではの意見や提案が出ました。

西脇市のプロジェクトには田中さんのほか、同社のデザイナーとして活躍する森さん(写真左上)と鈴木さん(写真下)が、西脇市のシェアオフィスを拠点にツアー企画や地元の方とのコミュニケーションを楽しんだそう。

——『カメラガールズ』のメンバーたちが、積極的に発信したり、議論に参加したりできるのはなぜでしょうか?

田中 趣味として楽しむ人の集まりなので、カメラガールズたちに謝礼が支払われることはありません。前提として、純粋に関わりたいと思った人が参加してくれているので、結果的に写真提供やインスタグラム投稿など盛り上げも積極的に行うようになるのだと思います。