ECに境界線はない

——本事業のプロジェクトとして、セミナーや実践形式の合宿をされましたね。参加者の反応や成果はいかがでしたか?

高林 ECのノウハウセミナーと人材獲得セミナーを同時に実施しました。ネットショップというのは、基本的にECに取り組みたい事業者と運営したい人材が揃っていないと事業ができないので、同時開催という形をとりました。

本事業で実施されたノウハウセミナー(写真上)と人材獲得セミナー(写真下)の様子。人材獲得セミナーでは、ネットショップ店長を務めるスタッフが運営のノウハウや経験をレクチャーしました。

高林 具体的には、まず1月11日に豊岡市でECセミナーを開催し、12社20名が参加してくれました。その後、参加者の中で自社商品を販売をしたい方とネットショップの店長に挑戦したい方に、2月に鳥取市の当社事務所で「鳥取ラウンド」として、2日間の合宿形式で実務経験をしていただきました。「鳥取ラウンド」には、6社9名が参加してくれました。

——印象的な受講者はいましたか?

高林 お菓子屋を経営する方と介護関係の方ですね。最初はそれぞれ高い技術力や知識、経験を持っているのに、自身では強みや特徴になることだと認識できていなくて、自分の力を前面に出すことをためらっている様子でした。そのせいか、ネットショップならば全国各地に対して販売できるチャンスがあるにもかかわらず、自分の技術を売り込むことが不器用だったり、ターゲット設定が豊岡市内にとどまっていたりと視野が狭い状態でした。

自分たちの強みを活かし、全国に勝負できるのがネットショプであるということを伝え続けたところ、気持ちや行動に変化が起こり、強みを活かして全国に届けるECショップの立ち上げに向けて一歩踏み出しました。

——本事業がスタートする前の2021年7月頃に豊岡市で初のセミナーを実施され、その後、地域IT人材育成事業に参画されて、ご縁のあった方々と次の取り組みがスタートしているということですね。着実に豊岡市の方々との関係性を深めているのがうかがえます。

高林 実は想定よりも2カ月くらいスタートが遅いです(笑)。理由として、ネットショップに関する企業探しに苦労したことやネットショップの必要性や価値を理解していただくために認識のすり合わせに時間を要したというのがあります。

そもそも広告だけ流しても売上げにはつながらないことやネットショップも実店舗と同じく営業活動が必要であること、要するにやり方次第であるということを認識していただくのに非常に時間がかかりましたね。