Project #03
農業者と消費者を繋ぐスマート商流『とどけもの』で農家所得向上と消費者満足度向上を実現
——株式会社農社

  • ✓農業経営および技術に関するコンサルティングサービスで地元淡路島の農業発展に貢献
  • ✓生産者へ新たな販売経路を開発したい!オフィスに置く無人販売所『とどけもの』
  • ✓『とどけもの』サービスを全国へ普及し、IT化を促進、農業分野のDXの一翼を担う

会社紹介

株式会社農社は、2021年に生産者への農業経営および技術に関するコンサルティングや自社農園をベースとした研究開発をメイン事業として設立した農業サービス会社です。
奥野社長は、「農業普及指導員」の資格を持っており、農家を支える専門家として生産者に寄り添い、技術向上や経営支援などを行っています。
なかでも、農業者のDX化を図ることで作業の負担を減らすスマート農業に力を入れています。
農業技術から販路開拓まで幅広くサポート、農業分野にIT技術を積極的に取り入れるアグリテック事業の展開により生産者の業務負担の軽減と所得向上、消費者の満足度向上を図り、地元淡路島を拠点に農業発展に貢献したいという思いで事業に取り組んでいます。

オフィスで働く様子

本事業のきっかけ

日々のコンサルティング業務の中で、販売経路に関する悩みをよく聞きます。
コロナ対策の観点からもECサイトは有効なのですが、スーパーのように実物を見て選べないため、商品到着後、WEBサイトで見たイメージと実物が違うとクレームに発展するなど、うまく機能しないケースも見られます。
WEBサイトでは生産者のこだわりが伝わりにくいという点も課題と感じています。
そこで実際に目で見て確認ができ、生産者のこだわりが伝わるような新たな販売経路を開発したいと考え本事業に応募、生産者が自宅の軒先で行っている無人販売をヒントにオフィスに置く無人販売所『とどけもの』サービスを開始しました。

本事業の内容

『とどけもの』事業は、マンションやオフィスなど人が集まる場所の一角に設ける無人販売サービスです。生産者が品目・出荷量・価格を決定し、消費者は農作物を手に取って選べる、スマート商流を実現します。
今回、実証事業としてコワーキングスペースを運営している「起業プラザひょうご」の一角に『とどけもの』サービスのスペースを設けました。
昼食にプラス1品として果物を購入したり、仕事帰りに買い物ができるよう、オフィスで働く社会人をターゲットにしています。オフィスで販売することで農産物を身近に感じてもらい、食事に取り入れてもらうのもねらいの一つです。
販売にあたりモニターやポップで生産者の紹介やこだわりについて知ってもらい、生産者が見える農産物を販売しています。
生産者から送られてきた農産物の受け取りや陳列、売れ残りの回収などは兵庫県産品にこだわったアンテナショップ「元町マルシェ」の協力を得て実現しています。
購入にはキャッシュレス決済を導入、また公式LINEを作成し登録者へ新しい農産物入荷のお知らせや、農家の紹介・こだわりを配信するなど、IT化を推進しています。
今後は、商品出荷の手配においてもシステムを導入し生産者の業務負担軽減に繋げていきたいと思います。

『とどけもの』サービスのチラシ
公式LINEからの案内画面
『とどけもの』無人販売所設置の様子

実証の成果

『とどけもの』サービスを利用した生産者からは「新しい販売経路ができた」「都会へのアプローチができた」と好評でした。消費者からは、みかんやトマトなどその場ですぐに食べられるものの人気が高く、実験的に電子レンジと一緒に枝豆のようなその場ですぐに調理できる野菜を置いてみたところ購入しやすいことがわかりました。
ただ野菜を置くだけではなく、設置場所ごとに異なるターゲット層に合わせて販売方法を工夫することにより新たな購買層を獲得できることがわかりました。
今回の取り組みを知り『とどけもの』サービスを設置したいと申し出る企業も出ており、双方のニーズにより販売場所の拡大も見込めるのではと思います。

『とどけもの』で販売する野菜やくだもの
『とどけもの』利用農家:
株式会社アクアヴェルデAWAJI
『とどけもの』出荷者:元町マルシェ

将来のビジョン

今回の実証事業を通して、オフィス内での設置などBtoBの販売に可能性を感じています。
社員の福利厚生として、またSDG’sへの取り組みとして企業価値を高める活動に繋げていけるのではと思います。
今後『とどけもの』の設置場所をより広げていくため、消費者の目線に立った商品開発、仕組みづくりをと考え、『とどけもの』のアプりを開発中です。
将来的にはアプリ内で生産者が出荷したい場所・品目を選んで配送でき、売れ残りがあれば回収先とのマッチングまで行えるような仕組みを目指しています。
そして、アプリを通して、消費者の購買傾向やニーズを掴み、農業をより身近に感じてもらえるきっかけを作っていきたいと思います。
『とどけもの』サービスを全国へ普及させることでIT化を促進、農業分野のDXの一翼を担っていきたいです

photo:大亀京助

<会社プロフィール>
株式会社農社

●住所
〒 656-0026
兵庫県洲本市海岸通一丁目11-1 洲本ポートターミナルビル1F

●事業内容
・コンサルティング事業
・研究開発事業
・販売支援事業(キッチンカー)

●HP
https://nosya.co.jp/