関わった人がファンになっていくまちに

——丹波焼のサイト作りと農家と観光客のコミュニティづくりについては、途中まで進行していて今後も実現に向けて継続するそうですね。

河野 そうなんです。丹波焼のサイトづくりについては、サイトづくり自体は難しくありませんが、作り手のストーリーを丁寧に伝えるメディアとしての意義や価値があるので、補助金申請をしてみようという話になりました。専門家のアドバイスのもと企画書をつくったのですが、作家さんが多忙になり今少し止まっている状況です。

もうひとつの農家と観光客のコミュニティづくりにおいても、丹波篠山市内で移住ツアーを行っている人を呼んだヒアリングや観光視点で農家さんとディスカッションする機会を2月実施予定でしたが、コロナ禍で延期の判断となりました。

兵庫県地域IT人材育成事業は本来は3月末で終了予定のもので、コロナ禍であったり作家さんが多忙になったことから進捗していないものはありますが、ここで終わりにせず落ち着いたら必ず実施しましょうということになっています。

12月に実施されたワークショップ。丹波篠山市内から官民のさまざまな職業の人が参加し、個々の課題に真剣に取り組もうと一人ひとりの話にみんなが耳を傾けていました。

——最終的にプロジェクトが完了していないものもありますが、座学だけではなく実行のフェーズがあったのも人材育成には大きく寄与したのかもしれませんね。

河野 今回の人材育成事業はきっかけであり、持続できる形にするのが本来あるべき形だと思っています。そのために僕らがやれることを引き続きやっていきたいですね。欲をいうと、教室などで呼んだ外部講師たちが丹波篠山市のファンになってこれまで以上に関わってくれるような動きや関係が築けるといいのですが(笑)。

——河野さん自身、地域を楽しみながら関わっているというのがひしひしと伝わってきます。

河野 自分たちの経験やノウハウを活かして、地域の人たちの「やりたい」をサポートするのが私たちの仕事ですし、私自身、自分がやりたいことをやっているだけなのですけどね(笑)。

今回の人材育成事業では、参加者のやりたいことの実現や課題解決に向けて、地域外からプロフェッショナルを呼んで交流ができたこともよかった点かなと思います。地域内部の目線、外部の目線で広く課題を出すことができます。だから、農業、丹波焼、観光と発信など偏りがなく、アイデアも生まれたのではないでしょうか。

「私たちが地元の方たちを元気づけたり励ましたりすることで、それが次につながっていくようになれば嬉しいですね」と話す河野さん。自身も一つひとつの地域に楽しみながら関わっていることが伝わってきます。

——今回のプロジェクトを通して、河野さん自身、篠山市への関わりは今後増えていきそうでしょうか?

河野 増えていくと思います。個人的にも丹波篠山市に関わってすっかり魅了されまして、全国各地に足を運んだ中で自分としてはベスト3に入るまちになりました。今後は、第二の故郷として定期的に訪問していけるように計画中です。

 

* * *

人懐っこい笑顔が魅力的な河野さんは、どんな困難なことも前向きで「やるなら楽しくなるほうへ」とさまざまな人たちをプラスに巻き込んでいくエネルギーに溢れていました。そんな彼のパワーが丹波篠山市の人たちに心地よい刺激を与え、まちを語れる人が増えていくと、今以上にまちの魅力度も向上していきそうです。

text:Asuka Kusano photo:中村香奈子

<会社プロフィール>
株式会社ノットワールド

●住所
〒103-0001
東京都中央区日本橋小伝馬町14-14
野村ビル5階

●事業内容
・旅行業
・観光促進事業
・その他各種事業

●HP
https://knotworld.jp/