西脇市の未来を、写真がつなぐ

——『カメラガールズ』による西脇市の情報発信の方法や楽しみ方を知り、まちの人たちの反応はいかがでしたか?

田中 SNSの情報発信に対して、スタッフの方たちの積極性も増したと感じています。カメラガールズたちがどんなことを感じて、インスタグラムにハッシュタグを付けて投稿するのかを見てもらい、一つひとつの発信から「情報発信とは何か」ということを考えていただける機会になったのではないでしょうか。普通の女の子たちが言うからこそ伝わる、というのもよかった点だと思います。

今まで目を向けていなかった部分が見えたり、地元の人が改めて西脇市のことを知ったり、西脇市の面白さに気づく瞬間をつくれたと思います。市の担当者もまちの人たちも「ちょっとインスタ頑張ってみるか」という気持ちになってもらえたらいいなと思います。

——本事業に参加してみて自社の取り組みの可能性や今後の広がりについてどのように考えていますか?

田中 今回のプロジェクトを通して私たちは『tamaki niime』さんや播州織に携わる事業者たちともよい関係を築くことができ、IT人材育成事業の終了以降も体験や工房見学を積極的に実施する話が生まれたり、播州織とコラボレーションした商品開発の検討もスタートしています。

当社は、夏に向けて事務所の2階をリノベーションしていて、各地域の逸品を紹介するイベントや物販ができるスペースを急ピッチでつくっています。

私たちにとっても事業者の熱意や想いに触れる時間があるほど、まちの可能性を見出すことができ、継続的に関わりたいという気持ちを醸成すると改めて気づかされました。

築50年の古民家を借りて事務所にしているビートルは、2022年夏に向けて、2階をイベント・物販スペースにするため、地方と行き来する合間を縫ってDIYしています。

——結果的に、ビートルにとっても継続的に西脇市と交流できる関係構築につながる機会となったのですね。

田中 当社がこれまで地方創生の取り組みをさまざまな地域で携わってきた中で、常日頃から自治体の予算に頼った事業による事業継続の難しさを痛感してきました。本当の意味でのまちづくりは、取り組んだ活動が継続できてこそ、という考えが根底にあります。自治体の予算に頼る活動ではなく、民間事業者とタッグを組むことで継続できる仕組みをつくっていきたいと思っています。

 

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写真ひとつで、地域や人がつながり、まちの魅力が発見できる。ビートルの運営する『カメラガールズ』は、まちと企業、関係者がそれぞれの立場で無理することなく、継続的に関われる心地よい関係を築けるプロジェクトでした。情報発信に悩む地域や企業にとって、きっと参考になるでしょう。

text:Asuka Kusano photo:中村香奈子

<会社プロフィール>
株式会社ビートル

●住所
〒136-0071
東京都江東区亀戸5-24-2

●事業内容
・カメラ好き女性のコミュニティ「カメラガールズ」運営
・メディアプロデュース事業
・広告デザイン制作事業
・コミュニティ&プロモーション事業
・出張撮影事業

●HP
http://www.beetle-j.jp/