Project #10
台湾・香港・中国富裕層向けツーリズム型あわじ島フード D2C サービス立ち上げを通じた島内 IT 人材育成事業
——マルクファミリー

「兵庫県地域IT人材育成事業」参加事業者インタビュー。今回お話を聞いたのは、フードツーリズム型D2Cサイト「淡路堂AWAJIDO」の立ち上げプロジェクトを実施した、マルクファミリー株式会社の代表取締役家長・福山秀仁さんです。

福山さんは東京や海外で15年以上IT業界に従事し、事業開発や海外展開の支援を中心とした仕事に携わってきました。2017年に神戸市で起業し、兵庫県の「IT企業誘致・ビジネス創出コーディネーター」を任命され、3年間、企業誘致担当として県内自治体職員や地場産業の担い手と、首都圏クリエイターをつなぐ新しい共創プロジェクトを実施してきました。

マルクファミリーの福山さん。淡路島にビジネスの可能性を見出し、移住。「海が見える場所で仕事は捗ります」と魅力を話します。

そのなかで地方の可能性を感じるようになった福山さんは、地域に根ざしたまちづくりの活動を拡げるため、2021年に淡路島に移住し、洲本市でマルクファミリー株式会社を創業しました。モバイルサウナ開発・運営や、自治体のDX支援、島内の遊休地を活かしたキャンプ場予約サイト運営など、淡路島での取り組みを次々と展開している、今淡路島で勢いのある会社です。

淡路島の魅力を最大化させて島を豊かにし、「日本は、地方から変わる」ということを体現しようと奮闘するマルクファミリー。本事業に参画することで、ITを通した淡路島の未来をどのように描いているのか、その考えに迫りました。

淡路島発、「食」のサブスクサービス

——なぜ、今回はプロジェクトに参加されたのでしょうか?

福山秀仁さん以下、福山) 当社は淡路島発の事業展開をする会社として、「医・食/職・充」を中心に、医療、職業、食、ウェルビーイングを目指す「充」の領域で事業展開をしています。その中で、当社は「食」事業で海外へ販路拡大を目指す生産者、企業、農家などと事業を立ち上げようとしているところでした。兵庫県地域IT人材育成事業を通して、サービスを推進する目的で参加しました。

——本事業のプロジェクトの成果として3月に「淡路堂AWAJIDO」のサイトがオープンしました。アジアを中心としたインバウンド向けサービスとして取り組まれたのはなぜでしょうか?

福山 淡路島は観光地として年間1200万人が訪れる島で、そのうち外国人観光客は5万人程で全体の1割にも満たないんです。最近では日帰り旅行者も多く、島の滞在時間が短いため消費額も少なくなり、産業として成立させるのが厳しいという現状があります。

国内旅行者で潤っていた中でコロナ禍で打撃を受け、自分たちの販路を見直すきっかけにもなったと思います。こうした課題と島の生産者たちの販路開拓という点を解決する策として、淡路島のインバウンド需要を高めていける取り組みをしたかった。そこで誕生したのが、今回のツーリズム型のD2Cサービス「淡路堂AWAJIDO」です。

開けるのが楽しい「淡路堂」の商品ラインナップ。淡路島産の食材の魅力を最大限活かすために、賞味期限やパッケージデザインなどにこだわってつくられた商品がぎゅっと詰まっています。

——季節に合う淡路島の特産品を毎月届けるセレクトショップとして、サブスクリプション形式で3つのコースが用意されていますね。3種類の特産品を届ける「トライアル(3400円/月)」、5種類の「スタンダード(6800円/月)」、7種類の「プレミアム(1万1000円/月)」とありますが、サブスクで購入していただくまでのコミュニケーションが大変なように思います。

福山 サブスクに申し込むということは、商品のファンや淡路島が好きという熱量がないとなかなか継続してもらえないですよね。なんの文脈もない状態で商品を届けても、おいしいかおいしくないか、だけの判断になります。やはり淡路島ならではの物であることは必須なんだろうと思っています。

実は当初、お菓子のサブスクを検討していました。淡路島には老舗製菓店から注目の洋菓子店まで菓子製造の会社が多かったことと、日持ちの良さ、輸出のしさすさといったメリットがあったからです。「よし、いけるぞ」って思ったものの、いざサンプル商品を台湾の人に届けてみたところ反応が薄くって……(笑)。おいしいけれど、自国にもスイーツはあるし日本からわざわざ取り寄せようとまでは思わない、というフィードバックでした。

——いい商品であること以外に、購入者が淡路島のものを買う動機付けになるきっかけをつくる必要があるということですね。

福山 当社の1階にある人気のバウムクーヘン屋さんを観察してみて気づいたのは、「この場所で食べるからおいしい」ということでした。バウムクーヘン目的の来客よりも、島のなかにあるいい場所を探してたどり着いている。だからこそ、淡路島ならではの商品で、スイーツ以外に特産物である玉ねぎの加工品や淡路ビーフなど、淡路島発の商品を展開していきたいと思いますね。絶賛苦労中ですが(笑)。