Project #05
地域課題を解決できるIT起業家・人材育成講座「放課後起業クラブ」
——インビジョン

「企業や地域のおダシ屋です」。そんなキャッチコピーと共に、「働くかっこいい大人を増やす」べくHR事業を展開するのが、今回登場するインビジョン株式会社です。2008年に設立された同社は、HRテックの活用や採用マーケティング、企業ブランディングで企業の人事・採用を支援する「おダシ採用」、自社コンテンツの制作、採用広報メディアの作成、地域ブランディングで地域人材の活性や移住を促進する「おダシ地方創生」という2つのサービスを提供してきました。

インビジョンが掲げる会社のビジョンは「働く幸せを感じる、かっこいい大人を増やす」

インタビューを受けてくれたのは、代表取締役/CEO兼CCO(カンパニーカルチャークリエイター)の吉田誠吾さんと、今回のプロジェクトの担当者で、“火起屋”こと戦略人事・総務本部の坂牧 真さん、そして豊岡市にある兵庫事業所責任者であり、“飛脚沸騰屋”こと営業本部リーダーの五十嵐清美さんの3人です。

テクノロジーの力で無駄を排除(=アク取り)して、おダシ(=人間的な魅力、らしさ)を引き出していきたい——そんな想いを胸に、独自の人材開発を行なってきたインビジョン。ある高校生との出会いによって、2年前から強いつながりを持ってきた豊岡市で、未来のIT起業家、IT人材を育成するために動き出しました。

社内には「思い」を可視化し、共有するさまざまな工夫が施されています

そうして「ひょうご次世代産業DX導入・人材育成プロジェクト」に参加し実施した、「放課後起業クラブ」とは。

 

高校生との出会いで引き寄せられた豊岡での改革

——インビジョンが本社を構えるのは、東京・中目黒です。今回のプロジェクトに参加されたきっかけはなんだったのでしょうか。そもそも豊岡に事業所を構えたのは2021年4月とのことですが、なぜ兵庫県に事業所を?

吉田誠吾さん(以下、吉田) 最初の“きっかけ”にさかのぼるなら、豊岡市のコワーキングスペースで、地元企業に向けに「IT企業の働き方セミナー」を実施したことです。独立支援をしていたIPPO TOYOOKAの方に声をかけてもらって、登壇することになりました。セミナーには豊岡市役所の方をはじめ、銀行の方、地元の経営者の方々、さらには学生さんたちまで集まってくれました。

そこにひとりで来てくれていた田邊くんという高校生が僕たちを動かした、と言ったらかっこよすぎるかもしれないのですが……彼がそのセミナーの翌日に送ってきてくれた1通のメールが、「放課後起業クラブ」のはじまりだったのかもしれません。田邊くんのメールには、「インビジョンで働きたい」と書かれていました。

代表取締役/CEO兼CCOの吉田誠吾さん

彼が通っている高校ではアルバイトは禁止だったんですが、担任の先生とも直接話して、「給与の発生しないインターンなら」ということで、いろいろと手伝いをしてもらうようになったんです。

もともと僕たちがビジネスをやっている根底には、「固定観念(=これも「アク」)」を取り除くことで子どもたちの「狂育(きょういく=本質を見失い、とりあえず「ちゃんとしなさい」という教育)連鎖」を断ち切り、おダシ(=らしさ)を強調してあげたいという想いがありました。アク抜きされて楽しそうに働いている大人がいないから、それを見て育つ子どもたちもおダシが薄くなってしまうんです。だからこそ、10代の子たちに「仕事って面白いぞ」というところを学んでもらう場を提供したいと、考えてきたんです。

東京ならインターンのチャンスはいっぱいあるかもしれない。でも地方ではそうはいきません。そんななかで、まわりを“出し抜いて”なにかを得ようとしている彼に、我々も感化される部分があったんですよ。

その後、セミナーを機に仲良くなった豊岡の方々とも仕事をするようになり、あれよあれよという間に……いや、引き寄せられるように(笑)、豊岡市に事業所を構えることになりまして。地域の若者たちに向けた講座を開催しようと動いていたときにこのプロジェクトのことを知り、すぐに応募したという経緯です。