思考のトレーニングがIT人材育成の第一歩

——HR事業をされてきたなかで、その人材のベースをつくる「教育」から関わりたいという思いが、「放課後起業クラブ」というネーミングにも現れているように感じます。

坂牧 真さん(以下、坂牧) ありがとうございます。講座を始めるにあたっては「豊岡を盛り上げる作戦を練ろう!」と呼びかけ、毎回「放課後」の時間帯である17時からスタートしていました。参加者の年齢層でいうと、中学2年生が最年少で、最年長は35歳の社会人。一番のボリュームゾーンとなった高校生は7名ほどで、例の田邊くんも参加してくれました。

誠吾さんの言うとおり、ずっと教育事業をやりたいという希望があったので、自分たちにとってもチャレンジでありチャンスだったなと思っています。

——講座では、具体的にどんなことを行ったのでしょうか。

坂牧 講座は2021年の12月から2022年の3月にかけて、全12回で実施しました。初回はお互いの自己紹介にはじまり、2、3回目では自分自身を知ってもらうために「好きなこと」と「自分らしさ」の言語化に挑戦。これが、のちの「強み」になります。4〜7回目では地元である豊岡市の課題を自治体の人たちにヒアリングし、グループでその解決策を提案する企画書をつくりました。

8〜10回目ではそれをビジネスとしてカタチにすべく、マーケティングを学んだり、事業計画をつくったり、プレゼンしてフィードバックをもらったり、というところまで進めていきました。11、12回は最終課題のプレゼンを行い、全過程が終了、という流れです。

吉田さんが講師を務めた講座の様子。

チームにわかれてのプレゼン大会では、負けて涙を流すメンバーもいたそう。

ゴールは、“かっこいい大人のOS”を搭載して、自分の想いをビジネスとしてカタチにできる状態にしてもらうこと。IT人材の育成プロジェクトではありますが、まずは「仕事って面白いんだよ!」ということを知って、社会課題をビジネスで、かつITの活用でどう解決していくかという「思考」のトレーニングをしてもらおうというのが、今回の目的だったんです。

吉田 実はこの過程をドキュメンタリー映画にしようと思って、ずっと撮影もしてたんですよ。みんなが悩んで、成長していく姿を映画として残し、最終的には豊岡市で映画祭もやりたい。海外に出品するのもありかもな、なんて考えています。そんなふうに仕事をしながら楽しんでいる姿も、見せられたらいいなと思っていました。